「鬼の眼は篭の目」節分で鬼の眼をつぶそう!
もうすぐ節分ですね。
節分といえば、あなたは何を思い浮かべますか?
豆を鬼にぶつける光景?恵方巻?それとも、芸能人の豆まきを見に行きますか?
実は、昭和30年代くらいまで南アルプス市内(甲府盆地の周辺)の家庭で普通に行われていた節分は、現在行われているものとは少し様子が違いました。
山梨育ちの70代後半以上の方々なら、みなさん、その節分の思い出をお持ちのはずなのですけどね(八田地区内の聞取り調査では、「節分=目駕篭」は常識のようでした)。
キーアイテムは「屋根より高く、竿にくくりつけて立てかけた目駕篭(めかご)」。
キーワードは「鬼の眼をぶっつぶせ!」といういう掛け声。
うし子は4年前から、仲間と昔の豆まきを再現してやってみていたのですが、これがかなり楽しい!
では、昭和30年代までの甲州の豆まきがどんなものだったかちょっと説明しますね。
かつて節分の日になると、どの家の軒先にも、目の粗いかごやざる、手すくいを長い竹の先にヒイラギやネズミサシの葉とともにくくりつけて、立てかけました。
←「手すくい」とはゆであがった麺類などをすくう竹製の道具です。
←
上野晴朗著「やまなしの民俗上巻「節分の夜」より」昭和48年発行
そして、豆を撒きながら「鬼は外、」の掛け声で家の中から鬼を追い出していき、戸外にでて、屋根より高く立てかけたかごに向かって、「鬼の眼をぶっつぶせ~!」と勢いよく豆を投げ上げるのです。
「かごの目は鬼の目」、今後起こりうる悪いことの「芽」にも見立てています。
鬼は軒先のかごに依りついているのでその目をぶっつぶすべく、思いっきり力を込めて投げつけるのですが、かごは軒先よりも高いところにあるので、それはそれは頑張って思いっきり投げ上げないと届きませんよ。
しかも角度を間違えると、自分に豆がバチバチと降ってきます。
寒空の下ですが、毎回、テンションが上がって、人間が演じる鬼など必要ないです。
目の粗い笊や籠なら何でもいいので、みなさんもぜひ、かごの目を鬼の目に見立てて、山梨風の節分を味わってみてください。
気分爽快、よいお歳取りになることまちがいなし!
うし子
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