市川酒店さんの角樽
こんにちは。 昨年の秋、小笠原の市川酒店さんより、角樽(つのだる)や王冠打栓機、そろばんなど、昭和時代に使われた御商売の道具を寄付していただきました。
一部は、1月より開催いたしました「新春を彩った引札」展において関連資料として展示致しましたが、コロナ暴君の悪行により、短い間しか皆さんに見ていただくことができませんでした。
残念ですが、7月頃から開催予定のテーマ展に向けて、展示資料の入れ替えをしています。今日は展示ケースから出して、収蔵庫に移動する作業をしたので、その前に撮影しました。
一升入りの角樽と二斗入りの角樽です。お祝いの席のために誂えられたものですので、華やかですね。
←甲陽若柳は鏡中條にあった北酒屋清酒製造場の醸していた酒の銘柄。北酒屋は正徳年間(1700年代)から昭和26年まで9代続いた酒造家。
←主に結納で使用された一升(1.8ℓ)入りの祝樽。裏には鏡中條の北酒屋清酒製造場の醸していた「甲陽若柳」銘が入っている。
一升入りの角樽は一生連れ添うに掛けて、結納の席で用いられることが多かったようですよ。
←左右の側板を角上にのばした漆塗りの対の祝い酒樽。小笠原の市川酒店で使われた。二斗樽(36ℓ入り)。市川酒店さんの倉庫に眠っていたものを寄贈していただき、収蔵前のクリーニング作業を行っている時に撮影。
市川酒店さんの店前が写っている昭和30年代の写真が、〇博調査で白根地区の中込家のアルバムからデータ寄贈していただいた画像の中にありましたので、ご覧ください。
三枚ありましたが、お一人は過去の日本の国会議員の中でも大変有名なあの方が写っていますね。
←「市川酒店前での選挙当選報告会?」(在家塚中込家資料より)
写真三枚は、名執斉一氏の山梨県議当選報告会の様子のようです。
櫛形町誌昭和41年発行の記述を参考にすると、これらの写真は小笠原富士川街道の下町交差点付近から北方面を撮影したものだとわかりました。画面左端に市川酒店さんが写っていますね。
←「小笠原商店街の土蔵造りの店舗」昭和41年発行櫛形町誌より。
市川酒店の現在の店舗は、画像の「テレビはサンヨー」の看板の付いている『加藤電気器具店』の隣手前で、ちょうど演説者が背にしている入口の店の場所にあります。しかし、画像では道の向かい側に市川酒店の立派な看板が見えますので、櫛形町誌の図にあるように、かつては駿信往還(富士川街道)を挟んだ道の向かい側に店舗があったようです。
完全な疫病退散が実現して、心置きなく皆で祝いの酒を酌み交わせる状況が戻ることを願うばかりです。
〇博ではふるさと文化伝承館において、7月から新たなテーマ展を開催できるように準備をすすめ、職員皆で先週から展示に関する調査も兼ねて、全長17キロの徳島堰沿いを踏査しています。今週は収蔵庫内にある展示候補資料の確認をしました。来週はまた踏査の予定です。
コロナ禍は未だ終息していませんが、寛文十年の徳島堰工事完了から今年で350年の節目ですので、2020年中に是非ともメモリアルな展示を実現したいと考えています。(南アルプス市ふるさと文化伝承館は一部制限(市HPでご確認ください)がありますが、6月1日より開館しております。)
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