パステルグリーンがレトロな旧野々瀬郵便局跡建物
こんにちは。 本日も、ふるさと文化伝承館では、テーマ展「開削350年 徳島堰」が絶賛開催中です。
←入口の展示資料に、「徳島兵左衛門俊正像」があります。
昭和32年に飯野新田の了円寺に寄進されたというそのお像を眺めていて思ったのは、「昭和30年代になっても、南アルプス市に住む人々にとって、この堰のもたらしてくれる恩恵の偉大さは衰えるどころか増す一方であったことをこの像は象徴しているのだなぁ」ということです。
像の作者で桃園の木彫家、長澤其山氏がこの像を完成させたのは昭和40年とのことですので、もちろん彼の想像のお姿ですが、この直後に、堰からの水を使って南アルプス市の原七郷一円に本格的なスプリンクラー網整備がされていくことを考えると、製作時期とその意図に興味が湧きます。
さらにもうひとつ思ったのは、「お着物のグリーンが目に爽やかできれいだなぁ」ということです。其山先生のお好みの色だったのでしょうか?黒く日焼けした逞しいお顔をあざやかなグリーンの縞の着物が引き立てています。
そういえば、昭和30年代から40年代はパステルグリーンというか、ミントグリーンのようなさわやかな緑色が、車や生活用具、家の塗装によく使われていたイメージがあります。
←そうそう、櫛形地区上市之瀬に昭和12年に開業した古い郵便局の建物を見せていただいたときにも、爽やかなパステルグリーンの扉や内装がレトロで素敵でしたっけ、と思い出しました。
今日は話題が飛躍して申し訳ありませんが、その上市之瀬の野々瀬郵便局跡建物をご紹介することにしますね。
← 現在は営業していませんが、道に面した大きなパステルグリーンの観音扉が印象的なその野之瀬郵便局は、櫛形西小学校の向かいに、県道伊奈ヶ湖公園線を挟んで立っています。
野々瀬郵便局は、昭和12年12月1日に現存する建物が建てられ、「野之瀬郵便取扱所」として開業しました。
郵便局は昭和50年代とその後とで2度移転していますので、最初の建物は当時のまま、古写真に写る姿をとどめています。
現在も建物を所有する、初代野々瀬郵便局長山本氏のご子孫が、当時の画像と資料を2018年に文化財課に寄贈してくださいました。
←この写真には「取扱所」の文字が見えるので昭和15年以前ということがわかります。
←扉を開けると内装は当時のままでパステルグリーンの昭和レトロな雰囲気を醸しています。
←お客さんと事務所を隔てる格子窓の内側の木枠に「150」の表示があります。この数字は、もしも郵便局に強盗が入ってきた場合には、この身長150㎝の目印でもって、強盗犯の身長の目安を得るための工夫だそうです。
←外観を眺めると、屋根のてっぺんの瓦に〒マークが入っているのを見つけることができます。
←外側の窓枠にはめられていた鉄格子は戦争時に切って供出してしまったそうです。
←建物内には、郵便局時代の備品もいくつか遺されていました。パステルグリーンの彩色は昭和40年頃に塗りなおしたものだそうです。やはり、この色味が流行った時期なのでしょうかね。
普段は個人のお宅なので公開はしていませんが、文化財課では上市之瀬を舞台としたまち歩きイベント等の機会に、所有者のご協力を得て見せていただいています。
この野々瀬郵便局跡建物の左隣にはJA南アルプス市野之瀬支所、消防倉庫を挟んで右隣には現在営業中の野々瀬郵便局があります。
野々瀬村では最初の郵便局ということもあり、この地域の皆さんの記憶に深く残る象徴的な建物なんです。
←2018年10月1日に行った、「〇博さんぽ上市之瀬中野編」の際に立ち寄った旧野々瀬郵便局跡建物。
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