10円切手で声の便りを(昭和の第5種郵便)
こんにちは。
つい先日、8ミリ映写機とテープのセット一式を市民の方から寄贈していただきました。
←寄贈された8ミリ映写機とテープ(藤田青柳家資料より)
テープはいづれも1960年代のもので、全部で33本ありました。テープの入っている小箱に記入されている題名を一つ一つ記録して目録化しますと、そのうち11本が8ミリテープではなく、音声のみが収録されたオープンリールのテープだとわかりました。プラスチック製のカートリッジにテープが収納されたカセットテープが主流になる前の形態ですね。「Toshiba」「HITACHI」「TDK」「SONY」のものがありました。
←第5種郵便送付用ケース入りの音声テープ
そのうち、ToshibaとSONYのテープの箱には、面白い仕掛けがあることに気がつきましたよ!
箱の裏に、切手を添付する区画があり、宛先と差出人を記入する欄がもうけてあります。「第5種郵便」という聞いたことのない文字もあります。どうやら、この箱に普通便で10円、書留40円、速達30円の切手を貼ってポストに入れれば、音の便りを送ることができたようなのです。
←第5種郵便送付用ケース(普通便で10円、書留40円、速達30円)
そこで、第5種郵便とは何か調べてみますと、「もともとは手紙やはがき以外のものを送付するために、明治28年に設けられた制度の流れをくむもので、昭和26年に郵便法改正後に、印刷物、商品見本などとともに、この音声テープも第5種郵便というカテゴリーに区分されたようです。しかしながら、この第5種郵便は昭和41年の郵便法改正によって廃止されています。昭和41年までは、サウンドテープに10円切手を貼れば国内どこでも郵送でき、声の便りを届けることができたわけですね。
←「Toshiba sound tape」の特徴と第5種郵便送付注意事項
テープの入っている箱の中には、郵送する際の注意事項を記した紙も入っており、「内容物の確認のためケースをノリやテープで貼らないこと」「ケース内に通信文を入れたりインデックス欄に通信文を記入すると第5種郵便にならないこと」「テープに字を書いた場合は郵送料が20円になること」などが書かれています。
いまやスマホで撮った動画をすぐに送りたい人や不特定多数の人の機器に通信・公開できる時代ですから、手紙みたいにポストに入れて相手に到着するまでの、ワクワクするようなタイムラグを愉しむなんて、なんだか逆に新鮮に思えてきます。 もし、このような第五種郵便で送られてきたケース入りのサウンドテープをお持ちの南アルプス市民の方がいらしたら、届いた時の思い出等のお話を聞かせていただきたいものだと思いました。
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