かをりよき千代花香油
こんにちは。
先月のことになりますが、櫛形地区小笠原で昭和時代に「富士商店」という、よろずやさんをしていらしたというお宅へ民俗資料の調査にお伺いしました。 ←「櫛形地区小笠原にあった富士商店の昭和63年当時の店内」(小笠原近藤家資料より 南アルプス市文化財課蔵)
そこで、「昭和初期から40年代位までの女性が使っていたヘアオイルを小売りする際に、店頭に置いていた容器」というものがあり、見せていただきましたので、皆様にもご覧いただこうと思います。
側面に「千代花香油」と打ち出された、なんとも趣のある金属製の箱のふたを開くと、中には小分けされた油函が3つ。さらに、量り売りに必要な柄杓が一緒にセットされています。当時は買い物客が持ってきた瓶に詰め替えて売っていたということですね。 ←柄杓一杯で20円だったのでしょうか?ケースを開いた蓋の内側に値札が付いていました。
「千代花香油」という商品は、香りを付けた鬢(びん)付け油で、昭和初期頃から千代田香油という会社が発売していました。鬢付け油は髪を固めたり、乱れを防いだりするのに使うスタイリング剤のような油のことです。この千代花香油は、日本髪を結うのに必要である伝統的な鬢付け油に、明治時代以降にヨーロッパから輸入され知られるようになっていた香水の要素を加えたもののようです。 ←「かをりよき 千代花香油 東京千代田香油本舗」 130×395×230(mm)
←香油函の底に少し香油の残りがあり、よきかほりを嗅ぐことができました!
昭和生まれの〇博調査員にとっては、幼き時におばあちゃんの鏡台のひきだしを内緒で開けてみた時の、少し背徳感のある懐かしいよきかほりでした。
以上にご紹介した「千代花香油の小売函」は、南アルプス市文化財課の民俗資料にということで、寄贈していただけることになりました。 ←お父様の経営していらした富士商店の資料を案内してくださった近藤さん。ありがとうございました。
いずれ、「昭和のおしゃれ」みたいなテーマ展企画が通ったら、伝承館に展示する機会ができるなぁ。来館者の皆さんにもこの昭和の「よきかをり」を体感してもらえるようにできたらいいなぁ、という希望が湧きたった〇博調査員です。
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