芦安地区西河原における伊勢湾台風の爪痕
こんにちは。
南アルプス市教育委員会文化財課所蔵の昭和34年災害資料より、今回は芦安村(現南アルプス市芦安地区)西河原の被害状況写真をご覧いただきたいと思います。
←飯野東条家災害資料18-1「芦安村西河原流失9戸公民館流失」(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
昭和34年災害とは、大水害を起こした第7号台風と強力な暴風雨で県内の藁ぶき屋根の家々をことごとく吹き飛ばし破壊した第15号台風(伊勢湾台風)が立て続けに襲いかかり、昭和34年8月から9月にかけて甚大な被害をもたらした一連の災害のことを言います。
芦安村においては、西河原地区が土石流に洗い流されるなど、甚大な被害を蒙りました。
芦安村誌(平成6年発行)によると、『(昭和34年)9月26日の夕方になると風雨が増し濁流が狂奔して川沿いの西河原地区が最も危険にさらされ、住民は家財を取りまとめて非難した。大量の流木が混じった土石流が橋桁にせき止められ、濁水が鉄砲水となって西河原地区を襲い、公民館、巡査駐在所、山梨交通バス車庫、民家、商店など地区ぐるみ十五戸を押し流した。』とあります。
文化財課所蔵の資料には、災害前の西河原地区風景→水害時の様子→水が曳いた後の様子がわかる写真がありますので、順にご紹介します。災害前後では全く違う光景になってしまっているのですが、そのなかでも流されなかった西河原橋の位置とその左右にみえる立木や民家の場所を確認しながら、見比べてみてください。
←芦安村役場災害資料「台風15号被害前の西河原地区」(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
←飯野東条家災害資料18-6「西河原バス終点芦安中心部」(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
←飯野東条家災害資料18-10「公民館の残がい」(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
←甲府小林家芦安災害資料15号台風-3(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
←甲府小林家芦安災害資料15号台風-2(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
←甲府小林家芦安災害資料15号台風-4(南アルプス市教育委員会文化財課所蔵)
芦安地区西河原は、昭和57年にも台風被害により土砂や流木で埋まり、御勅使川が氾濫しました。この時も人的被害は無かったようです。過去に起きた増水時の御勅使川の豹変ぶりと家屋などを跡形もなく押し流す水の脅威の記録を伝え続けることは、今後も起こるであろう災害への布石を打つことになると思います。
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