大正・昭和期のハイカラレシピ
こんにちは。
南アルプス市ふるさと文化伝承館で開催中のテーマ展「にしごおりのお勝手道具」(令和8年5月13日(水)まで開催)より、明治大正期の料理レシピについて、資料紹介したいと思います。
←こちらの展示ケースでは、以下①~③の観点で3点の資料を展示しています。
①大正時代になると地方の農村でも牛乳やバターを容易に手に入れることができるようになり、乳製品を使ったおやつや献立が提案されていること。 →展示資料:大正14年「保寿社牛乳タイムス」
②昭和時代に入ると、婦人雑誌で和洋中の多彩なレシピが紹介されるようになり、明治以降の外国との交流で取り入れられた食材や調味料の充実にともない、新しい調理法や調理技術が一般家庭に普及していく様がみてとれること。 →展示資料:昭和初期「料理レシピ集」婦人誌付録
③昭和10年代に入ると、外国から取り入れた食材や調理法を一般家庭の主婦たちが自由自在に使いこなし、栄養面での科学的な観点も踏まえたうえで、和風の献立の中にいままでになかった新しい味を取り入れて進化させていく過程が察知できること。戦時体制に突入していく前の昭和13年の幼児向けのレシピカードは、現代の私たちとっても興味深い充実のレシピ集。 →昭和13年「実物大子ども献立カード」婦人之友新年号付録
それでは、順にケース内資料をご紹介していきます。展示の意図とともにご覧いただければ幸いです。
←①大正14年「保寿社牛乳タイムス・保寿社領収書」(湯沢依田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)
『保壽社は、明治20年12月に土屋忠平が西山梨郡稲門村(現甲府市)の千秋橋南方に開業した牛乳搾乳販売業者である。のちに甲府市伊勢町に移転して昭和15年までの50年以上営業していた、山梨県内酪農における草分け的業者のひとつ。
「保寿社牛乳タイムス」は、保寿社が毎月一回発行していた販売促進目的の冊子。大正14年10月号では、全5ページで4項目の記事で構成され、主に家庭の主婦向けに洋装の手入れの仕方や乳幼児の牛乳摂取の有用性、その他、「おやつのごちそう」という項目では、2種のグリッドルケーキ(ホットケーキ)のレシピを紹介している。
大正期に山梨県内の一般家庭でも、牛乳やバターなどの乳製品が食卓に取り入れられるようになり、食卓に新しい洋風のおかずやおやつが登場したことだろう。』
←②昭和初期「料理レシピ集(一部分)」婦人誌付録(加賀美遠藤家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)
『昭和初期と考えられる婦人雑誌の付録の料理レシピ集。和洋中の多彩なレシピが「変り飯・冷飯利用変り飯・煮物・焼物・麺類」の項目別に分けて紹介され、ところどころに魚のさばき方など具体的な調理技法のイラストが挿入されている。また、あいだには「豊年油・コーソ・カレーモナーカ」などの興味深い広告も配置されている。資料の一部が切り取られていたため明確ではないが、100種以上のレシピが掲載されていたことは確実である。昭和8年の資料群に当該資料が含まれるため、それ以前の昭和初期のものと比定できる。』
←興味のそそられた「カレーモナーカ」の広告について検索すると、S&BのHPにある「S&Bカレールウの歴史」という項に、『1959.8 モナカカレー:即席カレー史上、ネーミング・形態・発想、すべての点で最大のユニーク賞品。』との紹介がありました。この商品は昭和34年8月発売とのことですから、資料にあるスヰートカレー本舗の「カレーモナーカ」の方が戦前ですから先に発売されていた可能性がありますね!びっくり!
←③昭和13年「実物大子ども献立カード(一部分)」婦人之友新年号付録(野牛島柳沢家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)
『32枚の幼児向けレシピカードは主婦向け雑誌「婦人之友」の付録。発育に必要な栄養素にも気配り、同じ食材の和洋両方のレシピを紹介、子どもが食べやすく、健康に配慮した調理法が明るくポップな絵とともに記されている。それまでの日本で培われてきた伝統的な調味料と調理法を子供向けにアレンジするだけでなく、明治時代終わりころから一般にも普及し始めた新しい食材を取り入れたホワイトソース、トマト煮、マヨネーズ等を使った味付けがあり、分量やカロリーも明確に示され、現代の私たちにも通用するレシピである。
パスタやマカロニなどの代用としてうどんを使用する「うどんトマト炒め」「グラタン」といったレシピも興味深い。また、平成・令和人にとっても新鮮味のある「オートミール」「オイルサーディン」「ウサギ肉」「フィッシュチャウダー」「フルーツサラダ」「クリームソース」「ぶりのてんぽろ」のレシピなど、興味は尽きない。
また、ロールキャベツにたくあんの千切りを、クリームシチューに福神漬けを添えるなど、洋風のおかずで和風の副菜を加えてご飯を食べるといった、現代の一般家庭の献立が昭和初期において取り入れられていたことも理解できる。
明治から昭和10年代前半までには、一般の家庭においても洋風の新しい食材や調理法が取り入れられる素地があり、現代の日本の食文化にもつながる豊かな食卓広がっていたのである。』
以上、戦時体制に突入していく前の昭和13年までのレシピカードの展示をご紹介いたしました。展示ケース内だけではご覧いただけないレシピたちが惜しいので、複製をご用意して自由に手に取ってご覧いただけるコーナーも設置しております。
ご来館の際はどうぞ♡


























































